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人と技術 -ロボット-
テーマ

レポートの例
 戦争とロボット
                                  名 前

⑴テーマ設定理由
 戦闘妖精雪風という本を読んだ。地球外生命体と地球人との戦いを描いたこの本。この本の主題といっていい『戦いに人間は必要なのか』という問い。実際この本の中でも、自動的に次の行動を選択し敵を攻撃するというロボットが出てきた。人間の乗った戦闘機よりも自分で判断するロボットのほうが何倍も的確な判断を下せる。そういう風潮が現代の地球でも見られるのではないか。アメリカではもうすでにロボットを人間の変わりに戦争に投入するという計画が始まっている。しかし、実際はその計画も計画倒れに終わるのではないか。これまでかなり長い間ロボットやそれに搭載される人工知能についての研究が進められてきているが、いまだに、現代の技術をもってしてもそのような高度な知能を持った、つまりその場に応じて自分で判断して行動が出来る、映画のAIのような知性を持ったロボットが完成されないのはなぜなのか。そこで私は戦争にロボットは使用されることはあるのかと調べてみようと思い、設定した。

⑵実態
もうすでにある程度人間同士が殺しあう戦争に、兵士を必要としないハイテク戦争マシンが徐々に浸透しつつある。その名もPredator。Predatorは元々、ペンタゴン(米国防総省)の予算で開発された。ペンタゴンはこれ以外にも、ロボットと呼んでもいいような様々なハイテク戦争マシンを開発中で、実用化に近づいている物もある。2001年9月11日に破壊された世界貿易センター・ビルの瓦礫の下から、被害者の遺体を収容するためにロボットが使われたが、あれもペンタゴンが戦場用に開発したTMR(Tactical Mobile Robots)と呼ばれるロボットである。このロボットは結局7人の遺体を収容したが、元々は戦場で負傷した兵士を救出するために開発された。これ以外にも、敵の陣地に放り投げて使う手榴弾型のスパイ・ロボットや、囮として敵の銃撃を引きつける人間型ロボットなど、40種類以上の戦場用ロボットの開発が進んでいる。
それにしても将来、こうした無人戦闘機やロボットが多用され始めたら、戦争はどう変るのだろうか。兵士が民間人を攻撃することは、現在の戦争では原則として禁じられている。従ってロボットが攻撃するとすれば敵方の兵力ということになるが、その敵もロボットを使ったとしたら,ロボット同士の戦いになる可能性すらある。血の流れない戦争は、もはやゲームあるいはシミュレーションに近くなる。もしかしたら,実際に戦闘を開始する前に、電子戦でお互いの兵力を分析して勝負がついてしまう、ということさえ起きるかもしれない。
 こういう戦争の現実を考えた場合、人間ではなく、ロボットを使って偵察や攻撃をおこなえば、たとえ反撃されてロボットが破壊されても人命を失う危険を減らせるということが昔から考えられていたが、ロボット兵器が実現するまでは、夢の話に過ぎなかった。日本では、こうした戦争の現実を考えずに、ただ単に戦争へのロボット技術の利用という視点だけでしか議論されることがなく、SF映画やアニメなども恐怖感や哀れな機械という捉え方しかおこなわれず、人命を救うとか、犠牲者を減らすという議論はされて来なかった。その為、ロボット兵器と聞けば、すぐに反対論が起こるような風潮が現在も続いているのが実態だろう。
 コンピュータの例を見てもわかるように、パソコンが普及するまでは、コンピュータは悪の権化のような扱われ方がSFやアニメでおこなわれていたのに対し、現実に普及したパソコンは情報革命を起こして、我々のコンピュータに対する偏見を一新しているのである。同じことは、ロボット兵器に関しても考えなければならないことだと思う。ロボット兵器は戦争のあり方を変えるロボット革命を起こすのは間違いない。人間同士が戦場で戦う戦争は終わるかもしれないのである。今後は、人間は黒子役になって、戦場で戦うのは遠隔制御によってコントロールされるロボット兵器や人工知能兵器ばかりになり、戦争の概念が大きく変化すると考えられている。
もちろん、人間の犠牲者が一人も出ないわけではないだろうが、今までの戦争のような死に方をする兵士は確実に減ることは間違いない。遠隔制御されたロボット兵器によってテレビゲームのモンスターのような殺され方がされる以上、戦争での死は決して名誉なものではなくなるだろう。また、戦場での殺人もゲーム感覚のものになって、後悔や反省が起こりにくいものに変わるだろう。そういった点を考えると、完全な自立型ロボットというものが誕生しないかぎり、ロボットを使った戦争というものが大規模に展開されることはないのではないか。

⑶結論
 この主題を決めた当初は、戦争に用いられる完全な自律型ロボットを生み出す事に賛成していたのだが、調べてみて、技術者倫理の面から戦争での完全自律型ロボットというものを見てみると、それは一歩間違えると、さらに大きな人間やロボット間、ロボット同士の戦争を引き起こす可能性もあるし、完全なロボットなどありえないわけだから、それによって無関係な一般人や大衆が傷つくような惨事を生む可能性もある。いまだ開発に、そして実用化に踏み切れていないのはそこにあり、将来の世の中を担っていく私達は、いかにこの問題を解決し、平和な共存社会を作り出すか、という事を考えていくべきだろう。しかし、法やシステムだけでは、この技術の進歩に対抗する事は不可能だろう。この安全問題や生命倫理の問題、戦争の概念が解明されたとき、はじめて我々人間は代理戦争という形での戦争で、安全な社会を築くことができるだろう。

―参考文献―
近未来研究所 http://ameblo.jp/kinmirai-lab/ 
未来の戦争 http://war.dot.thebbs.jp/1070863517.html 
無人の戦争 http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/ITPro/USIT/20020421/1/


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