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クラウン2-Lesson01

Lesson01

Looking at things, East and West ─東洋と西洋のものの見方─

橋を架けられない溝はない─匿名(誰か)─

アメリカ人と日本人は同じものの見方をするのでしょうか?

あるアメリカ人の心理学者は「ノー」と言います。裕美は雑誌で彼の話を読み進めてきました。

    1

あなたはテレビの前に座っています。映像が映し出されます。それは海底の映像です。泳ぎまわる数匹の小魚がおり、また貝、砂、海草があります。そこへ3匹の大きな魚が泳いで通り過ぎます。それらは明るい色をしており、どこかへ行こうとしているように見えます。あなたは少しの間この映像を見ます。のちほどあなたは何を見たか説明するよう求められます。これは心理テストだったのです。あなたはこれがテストだと知ってはいましたが、何がテストされているのかは知りません。あなたは何を見たのですか?

もしあなたがアメリカ人であるなら多分、大きな色鮮やかな魚が画面を横切って泳いでいるのを見たでしょう。もしあなたが日本人であるなら、小魚や砂、貝、海草にもまた気付いたでしょう。このテストを受けたアジア人は背景のものに気付く可能性がアメリカ人より70パーセント高いのです。彼らは砂や貝、海草について(アメリカ人の)倍のコメントをします。アメリカ人は大きな魚だけを見る可能性が高いのです。

    2

リチャード・ニスベットは、彼がこのテストを作成したのですが、ミシガン大学の心理学の教授です。彼は、自分の大学と中国・韓国・日本の大学で、アジアと欧米の学生に対し、このテストとこれに類似したテストを実施してきました。これらのすべての場所で結果は同じです。私達は「東洋」と「西洋」について本当に話し合うことができるとニスベット教授は言います。

ニスベット教授を含め、東洋と西洋のものの考え方は古代中国と古代ギリシャまではるばるさかのぼると信じている人もいます。西洋では人々はいつでも自主的な考えを尊重してきました。ギリシャ人は討論が好きでした。ギリシャ人は牧畜や漁業で生計を立てていたから、独立心が強かったのです。他方、中国では人々はずっと緊密な社会で暮らしてきたので、本当の公開討論の伝統はありませんでした。中

国社会は農業に基づいており、緊密な協力が必要とされました。日本の伝統は中国の伝統に似ています。

2000年度のノーベル賞受賞者の白川英樹博士は言います。「日本文化は稲作農業に基づいています。稲作農業は多くの水を必要とし、それゆえみんながそれ水を平等に分け合わなければなりません。稲を植えることはまた、チームの人々が同じ速さで一緒に働くことを要求しました。(→稲を植えるためには組になった人々が同じ速さで共に作業しなければなりませんでした。)このことはすべて個性が奨励されていなかったことを意味してきました。」
現在、日本の子供たちは、出る杭は打たれる(←突き出したクギは叩いて平らにされる)ことを教えられます。他方でアメリカの子供たちは、きしむ車輪は油を差される(=大騒ぎをするほど注目を集める、ごね得、はっきり自己主張しないと何も得られない)ことを教えられます。

    3

全ての人が、東洋の人が西洋の人とは物事を違うように見ているというニスベット教授(の考え)に同意するわけではありません。ほとんどの人が同じ絵を見ている二人が違うものを見るのだと考えることがとても奇妙だと思うのです。おそらくニスベット教授は「東洋」と「西洋」とを語るのに間違いをしたのでしょう。中国と韓国とタイと日本を比較すると、人は多くの文化差異に気づくでしょう。

「東洋」と「西洋」とを語り始めるとき、人は多分ある種のステレオタイプ(固定観念)に陥っているのでしょう。そうであっても、ニスベット教授の「東洋」と「西洋」のものの見方についての理論は異文化理解のためには大変重要なものです。違う文化的背景を持つ人々の間での相互理解は違いを認識することから始まるのです。もし我々が潜在的な違いに気づかなければ、お互いに誤解する結果になるかもしれないのです。もしそうであるなら、確かにニスベット教授の理論は注意深く取り扱わねばいけないものの、それは相互理解への最初の一歩なのです。実際ニスベット教授自身が「東洋のものの考え方を知れば知るほど私はその考え方に尊敬の念を抱くのである。東洋人は我々が手本にすることができるような多くの思考する習慣を持っている。私は今見ているよりも多くのものを見てみたいのである。」と言っています。


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