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クラウン1-Lesson4

Lesson4

Punana Leo-A voice of Hawaii ─プナナ・レオ−ハワイの声─

言葉の内に生命は宿り、言葉の内に死は宿る―ハワイのことわざ─

プアナニ・ウィルヘルムはハワイ出身の外国語補助教員です。彼女は今日、生徒にハワイの歴史と言語について話しています。

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アロハー、皆さん。ご存知の通り私はハワイ出身です。もしあなたがハワイに行ったことがあるなら、そこにいろいろな人種がいることに多分気付いたでしょう。中には私達の島を「太平洋の(人種の)るつぼ」と呼ぶ人もいます。1000年以上前に他のポリネシア島々から最初の人間が来ました。私のような子孫は「ハワイ人」と呼ばれますが、少数民族です。同様に世界のいろいろな地域から来た多くの人々がいます。日本、韓国、中国、フィリピン、ヨーロッパ、それとアメリカのほかの州などです。いろいろな人種や国籍の人がいるにもかかわらずみんなとても仲良くやっているようです。言語もまたいろいろあります。もちろん英語が主要な言語ですが、ハワイ語も公用語であることを知っていましたか?そのことを少しお話をしたいと思います。

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人がハワイ語を話すのを今まで聞いたことがありますか?アロハが「こんにちは」を意味することは皆知っているでしょうが、それはまた「ようこそ」や「あなた」も意味します。ハワイ語で「ありがとう」を何と言うか知っていますか?「マハロ!」と言います。ハワイ語はとても音楽的な言語です。私達の言語にはシラブルがたった40しかなく、響きはとても柔らかです。
昔は書記体系がなく、それゆえ歴史や物語は親から子へと口伝えで伝えられました。19世紀にヨーロッパ人とアメリカ人が島にやって来て私達の言語をローマ字に設定しました。19世紀終わりまでに人口の9割以上がハワイ語を読み書きできました。しかし、1986年に英語の公用語化が宣言され、もはや学校でハワイ語が教えられることはなくなりました。
1902年までにすべてのハワイ語の学校が閉鎖されました。ハワイの言語が廃れてしまうのではないかと思われました。1970年代初めに、私達はハワイ原住民の文化や言語を復興させる運動を始めました。

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ハワイの言語を復興させる運動の一環として、1984年にプナナ・レオと呼ばれる保育所が設立されました。「プナ」は「巣」、「レオ」は「声」または「言葉」を意味します。この学校は二歳から五歳までの子供のためのものです。ちょうど巣の中にいるひな鳥が母鳥から学ぶように、子供たちは一日中ハワイ語を使うように教えられます。
私はプナナ・レオに通い、そしてその後、公立学校に入学する頃になると私はカイアプニに通いました。科目はすべてハワイ語で教えられました。私は五年生のときに英語を第二言語として学びました。だから今、私はハワイ語と英語の両方を話せるのです。ハワイ語を話せる若者の数は急速に増えつつあり、ますます多くの家族が家でハワイ語を話すようになっています。一世代も昔はこんな風になりうるとは誰も考えませんでした。

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なぜハワイ人がそんなに母国語を熱心に保とうとするのかあなたは不思議に思うかもしれません。言語は単なる情報交換の手段にとどまらない、というのがその答えだと思います。
私達は自分達の言語という窓を通して自らを取り巻く世界を見ます。私達は自分達の言語によって民族の歴史や文化を共有できるのですし、またそうすることがアイデンティティを見つける助けになるのです。もし私達が自分達の言語を失ってしまったら、私達は自分たち自身の何かを失うのです。ここ日本で英語が日本語に取って代わったと想像してごらんなさい。あなたの文化やアイデンティティはどうなるのでしょう?
英語は世界の多くの地域でコミュニケーションを取るのに役に立ちますが、あなたの母語はあなたのアイデンティの重要な一部なのです。ちょうどハワイのように日本にも少数民族の言語があります。アイヌの人々は言語と文化の多くを失ってきました。今日、彼らは伝統を復興させようとしています。この授業では、もちろん英語を学習することになりますが、あなたの母語が一番大切だということを覚えておいて欲しいと思います。聞いてくれてありがとう。

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