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クラウン1-Lesson6

Lesson6

Living with Chimpanzees ─チンパンジーと生きる─

地球の動物は絶望的な危機に瀕している…
動物に自由な生がないのであれば、私達は酸素と同価値のこの魂ある者をきっと失ってしまうだろう ─アリス・ウォーカー─

ジェーン・グッドールは英国生まれの研究者で環境保護専門家です。彼女はチンパンジーを扱う仕事をしていることで有名です。今ここで、健二は彼女に生活と仕事についてインタビューしています。

    1

健二:まず第一に、チンパンジーを研究しにアフリカへ行こうと決めたのはいつなのか教えていただけないでしょうか。
ジェーン:そうですね、正確には覚えていないけれど、とても若かったのは確かです。動物達と一緒に暮らし、彼らを研究し、彼らに関する本を書くためにアフリカに渡ろうって、なぜかそう思ったのです。
健二:いつか動物達を相手に働きたいと思っている若者もきっとたくさんいるでしょう。彼らはどんな準備をすればよいのでしょうか?
ジェーン:そうですね、動物達を理解するためにやれることはいっぱいあります。彼らをよく見てその行動を観察することが重要ね。あとメモを取ることや質問をすることも重要です。なぜ?どうやって?何のために?とね。もしあなたが本当にやると決めたのであれば道は開けるでしょう。あきらめてはダメです。チャンスが訪れたら一か八かやってみなさい。

    2

健二:あなたはチンパンジーの研究をしながら長年アフリカで過ごしてきましたね。彼らは人間とどういった点で似ているのですか?
ジェーン:驚くでしょうね。彼らの脳は私達のと似ているし、行動も私達と似ています。彼らもまた子供の時には学ぶことがいっぱいあります。チンパンジーの家族はとても絆が固く、よくお互いに助け合ったりします。彼らは悲しみや幸せ、恐れ、怒りを感じることがあります。問題を解決することも未来の計画を立てることもできます。そのうえ、手話を使うように教え込むことだってできるのです。中には絵を描くのが大好きなのもいます。
健二:そうか、チンパンジーはとても利口なのですね。彼らの性格はどうなのですか?つまり、人なつっこいのか残酷なのか、ということです。
ジェーン:普段は人なつっこいです。でも残酷なときもある。人間とまったく一緒です。
健二:本当ですか?どうして(残酷になるの)です?
ジェーン:えーとね、彼らは自分達の縄張りを見回って、時たま別の群れのチンパンジーが来たりすると攻撃をしかけるのです。でもね、時としてすごく優しく愛情深くもなります。以前、メルというチンパンジーが3歳くらいのとき、お母さんが死んで一人ぼっちになってしまったのです。彼が死んでしまうってみんなそう思いました。けれど、驚いたことにスピンドルという12歳のオスのチンパンジーがその子の面倒を見たのです。
健二:どんな風にですか?
ジェーン:そうね、よく背中に乗せてやったり夜は寝床を共にしたり。メルがねだると自分のえさを分けてあげているのもしょっちゅう見ました。チンパンジーは愛情深く、面倒見がいいことだってあるのです。

    3

健二:では環境について話をしましょう。あなたは現在の環境問題に頭を抱えているに違いありません。
ジェーン:ええ、私達人間は、野生動物には生きる権利があることや野生の場所が必要で あることを理解しなければなりません。加えて滅ぼしてはいけない数種の生物がいます。 人間の病気のための多くの薬は植物と昆虫から作られています。私達が野生の区域を破壊 するとき、知らず知らずのうちにガンやほかの病気の治療の手だてをも破壊してしまって いるのです。
健二:なるほど。
ジェーン:そうです。そして自然の中にあるものはすべてつながっています。たとえば、 森のなかでは植物と動物が生命の複雑な構図全体を作り上げています。もし私達がその構 図を破壊したら、あらゆる種類のものがダメになってしまうかもしれないのです。
健二:たとえば?
ジェーン:そうね。かつてイギリス中のウサギが病気で死んだことがあったのです。キツ ネは食べるものが足りなくて農家のニワトリを殺し始めました。そこで農家の人たちがキ ツネを殺すとネズミの数が急に増え、そして農家の穀物を台無しにしてしまいました。農 家の人たちは結局、ウサギに負けたといっていいくらいの物を失ったわけです。私た ち人間は環境と、そして環境と一緒に自分たち自身も破壊してしまいそうな危うい状況に います。

    4

健二:では、未来のことが心配ですか?
ジェーン:ぜんぜん。若い人たちに望みを託していますから。彼らは環境問題のことを知っているだけでなく、実際に解決したがっています。だからこそ、私は「ルーツ・アンド・シューツ」を始めたのです。
健二:それは何ですか?
ジェーン:1991年にアフリカ東部の高校生のグループから始まったものです。ルーツアンドシューツといいます。ルーツ(根)は力強く地面の下をじわじわと進み、シューツ(若葉)は小さくて弱々しく見えますがレンガの壁を突き崩すことができるからです。
健二:ではそれは環境問題を解決しようとする若い人たちのクラブみたいなものですね?
ジェーン:その通り。このクラブは今では50ヶ国以上の国々にあり、いろんな場所でいろんな活動をしています。今も植林をしたり、リサイクル計画を始めたり、ホームレスの人たちに洋服を集めたり、恵まれない子供たちに知識を分け与えたりしているかもしれません。もしもあなたが悲しんでいる人を笑わせ、犬にしっぽを振らせるならば、もしも乾いた植物に水をやるならば、この世界はより良き場所になります。それがルーツアンドシューツのしていることのすべてなのです。
健二:インタビューを終わる前に一言お願いします。
ジェーン:私達人間はチンパンジーとそんなに変わりません。ただし、一番重要な違いは、私達は話せること、そして考えを共有できることです。偉大な考えがさらに偉大になれば、問題は解決できます。あなた達一人一人は果たすべき役割を持ち、状況を変えることができると言いたいです。人間のため動物のため自然環境のために、世界をより良い場所にしたいとは思いませんか?

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